16項目のカリキュラム原則⑮ 学習のための評価を促進すること

今回はP445~P446の原則⑮について要約してから考察する。

(要約)

カリキュラム原則⓻では、読解授業での教師の役割は、文章の主旨が理解できたどうかをテストするのではなく、どうやって主旨を理解するのか、その方法を教える事が大切だと言及した。このように述べた上で筆者は、その上でなおかつ読解授業のカリキュラムにおいて、評価をどのように位置づけるかが大切であるとしている。

評価はその目的により2つに分けられると述べられている。1つは学習の評価である。これは学習者のプロフィシエンシーや学習成果を測定するためのものである。もう一つは学習のための評価であり、学習者の学びを導き、支援する目的で使われる評価である。2つ目の評価は学習志向の評価とも呼ばれ、学習者の日々の学習成果の進捗を測定する目的でなされ、その結果をもとに今後の学習に役立つ前向きなフィードバックを提供する事が求められる。このように原則⑮では、評価について2つに分けて述べられている。

1つ目の評価はその結果に基づき学習者の到達度を判断するために使われるのに対して、2つ目の評価は学習者の今後の学習に生かすために用いられる。

1つ目の評価では学習者のパフォーマンス(成績や成果)、たとえば定期試験などの正式な評価と、日ごろの授業における課題などの非正式な評価を総合的に判断し、判断がなされる。それをもとに、教師側はカリキュラムや指導法がうまく機能しているのかを判断することになる。

筆者は2つ目の評価について、すべての教師が学習者の学びを改善するために、日々の教育の中で積極的に取り入れるべきであると述べている。それは教室活動の中で学習者の学びを改善するために、フィードバックとして取り入れることができるということだ。フィードバックにより、教室で学習者同士の読解力向上に焦点を当てたディスカッションが促進され、それが学習者の主体的な成長を後押しすると述べられている。そして、こういった評価のアプローチは意図的な練習(delibarate practice)の概念とも関連しているということだ。

(考察)

原則⑮で提示されている評価について2つ目の評価をどのようにカリキュラムに織り込んで実践していくのかが大切なのではないかと思う。そして多くの読解授業における教師側の課題ともいえるのではないか。原則⓻で述べられた意図的な練習とこの評価はどのように結びついているのだろうか。意図的な練習の流れの中に、クラスでどのように読んだのか、どう読めば主旨の理解につながるのかをディスカッションすることの大切さが述べられていた。そのディスカッションを教師は観察し、授業中に全体で共有したどのように読んだら理解につながったのかについて、フィードバックを行うという事だと思う。ただ、そのフィードバックを評価の形としてどのように学習者に与えるのかという点が自分の中で、、まだイメージしにくい。

たとえば、ディスカッションが活性化し、意図的な練習の目標が到達点に達した時、教師はクラス全体に対して、その成果を評価としてどのように示すのだろうか。教師は学習者のパフォーマンスに対して口頭でフィードバックをしたり、板書したりすることはよくある。

私が考えたのは、2つ目の評価を形成するためのカリキュラムに沿った進捗シートのようなものを学習者と共有するという方法である。意図的な練習の成果がどのように学習者の読み方に変化を与えているのか、その際のフィードバックについての感想、コメント、気づきなどを記録していくことである。

原則⑮までを見てきて、これまでを振り返ると、学習者は個人個人が頭の中で読む作業をいかに言語化し、共有しながら、クラス全体で向上していくのかが大切ということが繰り返し述べられてきたと思う。そして、教師はその方向をガイドしながらか学習者をサポートしていくことが求められるのだろう。

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