はじめに
今年4月から担任をしているクラスの学生を見ていて、なぜそんなに自信がないのだろうと感じている。今一番私が必要なのは第6章を学んで、クラスの授業でそれを活かした実践することだと思った。日ごろの授業や学生とのやり取りを通して、もしかしたら自信がないのではなく他に原因があるのかもしれないと感じている。とはいえ、自信を構築する作戦を知ることが先決だと思う。読書会で本書を2年かかってメンバーで順番に、担当者が発表するする形で輪読してきた。第6章は自分の発表担当だったはずなのに、ほとんど覚えていない。もういちどしっかり読んでいきたい。
要約
今回はP142~P144の冒頭導入部をまとめてから、考察する。
本章の中心的な論点は、「制御(コントロール)の感覚」である。人間は自身が日常生活や将来の目標などに対し、コントロールを失ったと感じた時、落胆し、自分が脅かされていると感じる。それに対して、常に先々にどんなことが起こりそうかを予測できる生活の中で、達成したことに満足を感じながら過ごせれば、快適である。
自分に関することは自分で制御できるという自信についての前向きな感覚は、時には制御不能な出来事によって揺さぶられることがある、といった理性的な見方は万人に共有されているわけではない。
この制御や予測可能性への関心は人類における長年のテーマであり、古代ギリシャ哲学でもヘラクレイトスやパルメニデスによって説かれている。現代科学においてもアインシュタインは「神はサイコロを振らない」と述べ、世界の本質は予測可能であるという信念を示した。一方、スティーブン・ホーキングは、量子力学の見地から、宇宙にはランダム性が存在し、完全な予測を不可能にしていると述べた。
筆者によると、これらのメッセージは予測可能性と制御をテーマとした議論は、時代を超えて永遠であることを表すものであり、人々の生き方と密接に関係するものということだ。心理学では、この予測と制御の問題は、成功に対する期待感に関係する多くの概念や理論の基礎に置かれてきたと指摘している。そして本章では、自信と個人的な制御に関する有名な概念を紹介し、後半では、学習者の成功に対する前向きな期待を高めるための具体的なガイドラインを示すと述べている。
(考察)
予測可能性と制御という概念が自信と深くかかわるという事がはじめに示唆されたが、改めて具体的場面を思い浮かべてみた。私が携わっているのは日本語教育で、学習者にどのように日本語でのコミュニケーション活動や必要なインプット、アウトプットをサポートしていくかということである。学習者が自信を持つために、予測が可能で制御できると感じるようなタスクの種類、難易度、量、進め方を把握し、臨機応変に対応できるようになれればいいのだろうか。
自信というものは、個々の性格や気質によるものが大きいと思っていた部分があった。再度、冒頭のこの部分を読み、個々の元々の性格が起因する自信の度合いとは別に、自信を構築できる授業の設計のステップを今度こそ学びたいと思っている。
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