5月3日 今回はまず、第19章の表19-1に述べられている読解指導のカリキュラムを作成するにあたって、読み手が備えたい重要な知識とスキルをまとめる。次に表19-2で具体的に提示されている読解指導のための16項目のカリキュラム作成原則を踏まえてから、考察を述べたい。
読解カリキュラム作成のための重要な知識とスキル
(要点)
以下のようなスキルを読み手が備えることが大切になる。
1.文字の正確で素早い認識と、一度に多くの言葉の意味を自動的に理解できること。
2.単語→句→節へとつなげて、つなげたものから意味のある流れを作っていくこと。
3.文章(テキスト)全体の構造やテキストの構成と段落同士のつながりへの理解で読みを深めて
いけること。
4.文章のテーマや一文の構造、全体の構造、または語彙の意味などに困難を感じたら、それに対する
ストラテジーを使いながら工夫して読み進めること。
5.読みとったこと以外のことについて推測する力。
6.文章のテーマについての背景知識が活用できること。
7.文章中の情報をまとめ、解釈し、評価するような要約力があること。
8.読んでいる間、長く集中し、難しいときもあきらめず継続できること。
読解指導のための16項目のカリキュラム作成原則
1.5つの原則
①大量に読むこと、頻繁に読むこと。
②読む目的を明確にすること
③読解カリキュラムに意図的な練習を取り入れること
④文章内容についての理解をディスカッションさせること
⑤読むことへのモチベーションを高めること
2.読解スキルを発展させるためのカリキュラム原則
①語彙学習の指導を強化する。
②文章中の主要なアイディアを「テスト」するのではなく「教える」。
③文章構造や段落構成への意識を高められるようにする。
④ストラテジーが使える読み手になるためのトレーニング
⑤流暢に読める力を育てる。
3.指導デザインの原則
①読む前、読む、読んだ後の3部構成のレッスン
②学習者の習熟度、ニーズと興味を考慮した練習のためのテキストの選定と調整
③デジタルリテラシーに留意
④読んだ内容について作文につなげ、アカデミックな課題に備える。
⑤「学びのための評価」、assessment for learningを促進する。
⑥教科の内容指導と読解指導を統合する。
(今回読んだところからの考察)
1.の5つの原則の3番目にある「意図的な練習」を取り入れることが、すべてにつながるキーワードだと感じた。
意図的な練習をするためには、5つの原則の2番目にあるように、読む目標をはっきりさせなければならないだろう。また、その目標に到達するためのステップを示し、そのステップに応じた練習方法で授業が設計されなければならない。また、その練習が1度だけではなく別の文章で意図的に繰り返し行うことによって、スキルとして定着していくのではないだろうか。
多読と読む頻度を上げるためには、授業で読む文章だけでは足りないと思われる。また学習者のレベルに合っていてニーズと興味を考慮したテキストを選びたいとは言え、試験のための読解授業に集中する時期はそれが難しい場合もある。その問題を解決するには、年間を通して読む1冊の本を決めるなどして、試験のための読解練習とは別の読解授業の時間を取りたい。
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