第3章 文章理解の過程、最近の研究結果について

     

4月26日 今回は第3章のP57にある表3-1の要点を述べてから、考察を述べたい。

  

文章理解をするために行われている処理に関して、最近の研究でわかってきたこと

要点


① 文章を一文ずつ読んで行く際、読み手は意識することなく持っている文法や文の構造の知識を長期記 
  憶から引き出し、理解を心の中で再構築していく。

② その時、長期記憶内にある背景知識が語彙や文が処理されるたびに自動的に活性化されて理解を支援
 する。
③ 初期の理解の段階では情報をチャンク化して、素早くまとめられることが必要。
④ また、テキスト内の情報を自動的につなぐ小さな推論(ブリッジ理論)がメインアイディアの理解の
  構築に重要。
⑤ 読み手が困難や強い感情を感じない限り、推論は明示的、意識的ではなく暗示的、自動的に行われて
  いる。
⑥ 作業記憶を越えた文章理解に必要な要素として、次のA~Fの6つが挙げられる。

A)注意力
B)推論力
C)メタ認知的な気づき
D)文章を読む目的や目指すゴール
E)自己調整(self regulation)
F)モチベーション

今回読んだところからの考察

ここでは、テキストのメインアイディアを心の中で再構築するために、どんな処理が行われているか、どんな条件が必要なのかが述べられていた。日本語の読解テキストではストラテジーの一つとして、よく文章についての背景知識の活性化が取り上げられていると思う。これは何について読むのか、それについてどんな知識を持っているのか事前に学習者に準備してもらい、読むための準備をするためである。教室活動で話し合ったり、動画を見たりすることもあり、その時は学習者間のやり取りや発言が活発なことも多い。

ところが本番の読みの作業に入ると、個人差が出てくる。読みの目標やゴールに合わせて作ったプリントなどに、どんどん書き込みながら読み進める学習者もいれば、なかなか課題にとりかかれない学習者もいる。

ここで述べられていたように、文章を理解するには、前に読んだ内容を今読んでいることと結びつけながら、情報をチャンク化したり、意識的に努力しなくても自動的に推論が素早く行われる必要があるようだ。それが難しい学習者の場合、読む前の活動で背景知識が頭の中に準備されても、読みが進まないのかもしれない。

では、どうすればいいのだろうか。上に書いたA~Fのポイントの中で教師がサポートできるのは、まずAとDではないだろうか。キーワードやキーセンテンスに注意できれば、止まっていた理解が動き出すこともある。またなぜこの文章を読むのか、読んで何に到達するのかを毎回伝えること、ある意味で読解におけるCandoのようなものを示すことによって、Fにつながるかもしれない。

個人レッスンなら、一文一語ずつ教師と学習者で精読していくこともできる。大人数のクラスで、さらにレベル差がある場合はグループで読んだりピアリーディングの形にすることもできる。ただいずれにしても、語彙や情報の塊の処理が自動的に推論を活用しながら行われなければ、学習者はだんだん疲れてきて読む気力を失ってしまうだろう。

今回、読んだところで学べたのは、テキストの理解を心の中に構築するためにはできるだけ困難さや心的な負担を感じず、情報を自動的に処理していける分量を増やす事ではないかということだ。そのためにはたくさんの意図的な練習が必要だろう。意図的な練習方法についての具体的な指導方法が19章のReading Curriculum and Instruction に書いてあるようなので、次回はそのパートを読んでみようと思う。

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