自律学習をサポートするための日本語教師の学び

「自信を構築する作戦」~自信を持たせるための具体的な方略

『学習意欲をデザインする』第6章「自信を構築する作戦」もいよいよ最終章にたどり着いた。ここでは、自信を持たせるための具体的な方略について述べられているので、要約してから考察したいと思う。
自信を持たせるために方略を考えるにあたって、自信とはどんな心理的要素に支えられているものなのかを理解する必要がある。自信を構成する主要な特徴の一つは制御の認識である。人は物事を制御できないと信じると不安やうつになり、制御できると信じることにより、精神的に安定して成功するよう動機付けられる。

3つの主要概念と方略

1. 学習要求(成功への期待感)


学習者の不安を減らし現実的な成功への期待を持たせるには、何が期待され、何が評価されるのかを学習者が理解できる言葉で説明することが必要だ。反対に学習目標が未学習の専門用語等書かれていると、学習者は理解できず、課題に取り組む前に不安に陥るだろう。

効果的な方略として以下のようなものが挙げられる。

  • 成功的な学習の証明として、期待される行動を明確に記述する。
  • 学習者に自分の学習ゴールを書かせる。
  • 少なくともいくつかの目標を自分自身で決めさせる。

2. 成功の機会


学習者の成功への期待感には、教材の読みやすさと挑戦レベル、教師のボディランゲージや言葉、練習機会の頻度など、非常に多くの要因が影響する。とはいえ、挑戦は学習活動そのものから来るべきであり、教師の態度や教材レベルの不適切さに起因しないよう、注意が必要だ。

不安感と恐怖の違い

課題に挑戦するときにつきものの心理的側面で、この2つの違いが述べられ、「不安」が自信を構築する障害になることが説明されている。

  • 恐怖は原因が特定でき対処法がわかる(むしろ望ましい)
  • 不安感は原因不明の心配事から生じる(風邪のようなもの)

学習者は「何が求められているか」「どう評価されるか」わからない時に不安になる。その結果、「勉強しすぎる」「カンニングなどで騙す」「成功を偶然のゲームとみなす」などの対処に走る。

不安感を減らす7つの方法:
  1. 明確で順序立った構成
  2. 簡単→難しい順にタスク配置
  3. 適切な挑戦レベルの使用
  4. 引っ掛け問題の排除
  5. 目標・内容・問題の一致、一貫性
  6. 自己評価の機会(解答付き)
  7. 不正解には矯正的、正解には確認的フィードバック(明示的なフィードバック)

3. 個人的コントロール


自信が高まるのは、タスクが挑戦的で、自分の能力や努力が原因で成功していると信じられる場合である。タスクが簡単すぎたり、学習者が成功が運や誰かの支援やひいきによるものだと判断した場合は、自信は高まらない。

学習者を支援する方法
  • 意味のある自己制御のチャンスを与える
  • 肯定的な帰属フィードバックを与える:つまり、学習者に「彼らが自分で稼いで単位を獲得した」と伝える
レッスン計画における6つの方法
  1. 学習順序を自分で選ばせる
  2. 自分のペースで進めさせる
  3. 能力を示す方法(テスト形式など)の選択肢を与える
  4. 自分で練習問題を作らせる
  5. 活動環境(グループか個人か)を選ばせる
  6. 教材改善のコメントを求め、記録する

他の要素との関係

最後に、「自信」とARCSモデルの諸要素との関係について述べられている。
自信は意欲の重要な側面であるが、関連性の条件が整っていないと学習者は無関心になる。また関連性が強すぎるとストレスとなり、かえって低い成果をもたらす可能性がある。全ての要素(注意、関連性、自信、満足感)のバランスが、学ぶ意欲を高め維持するために重要である。

考察

この章を読んで、学習者の自信を構築するための作戦がだんだんイメージできるようになってきたように感じる。難しいのはクラス全体に向けて、この作戦の細かい部分をどうデザインしていくのかだろう。

タスクに関して、取り組む前に不安感を取り除き、やれるだろう、やってみようと思えるような仕組みを作ることが大切だということがわかった。そのうえで、課題を順序だてて設計することが必要になることが理解できた。学習者の構成やレベルに応じてそのデザインが求められると思うので、時間をかけつつ、都度修正も必要になるだろう。そして、学習者が課題に取り組む際の方法にある程度の自由度と選択権があることが大切だと言及されていたので、今後意識していきたい。

何事もバランスが大切なのは授業デザインにおいても同じなのだと思った。この章では学習者の「自信」をどう構築するのかを読み進めてきたが、次回からは「満足感」につなげる方略について学んでいきたい。

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