自己効力感の効果、原因帰属理論、自己成就予言
前回に引き続き、自己効力感に合わせて、どのような要因が学習への自信とやる気につながるのかについて、P157~P162をまとめてみた。
まず、自己効力感の効果については、それが高い学習者は、より柔軟性のある学習スタイルや対処法を持つと述べられている。そして、より多くの認知的スキルを統合するメタ認知スキルや、学習方略の使用、より大きな粘り強さを示すとされている。研究によって、自己効力感が課題への取り組み、習得、成績と肯定的に関連していることがわかっているということだ。
次に、学習者の成功や失敗の原因帰属(能力、努力、課題の難易度、運)に注意を払うことについて説明されている。原因を「安定した」内的属性である「低い能力」と外的属性である「困難な課題」に帰属させると、行動を変化させることが難しいと述べられている。そのため、原因帰属を変化させるためには、まず不安定な属性である「努力」と「運」のカテゴリーから始めることが多いとされている。その後、課題に対する能力の認識を、より強いものに発達させることに移行させるということだ。
最後に自己成就予言についてだが、教師が学習者に持つ期待は、学習者の実際の成果に影響を及ぼすと指摘されている。例えば、教師が「知的成長の潜在能力が高い」と本気で信じている時、児童がより大きな知的成長と、高い読解成績を示したという研究が紹介されている。そして、教師が学習者に対し、肯定的な期待を持ち、高い自己効力感を持って指導にあたることによって、成果が上がったことが報告されていると述べられている。これはピグマリオン効果と言われるものである。そして効果は、学習者の初期の動機付けや過去の成果に関わらないということだ。
考察
学習の成果を上げて、学習者が目的を達成できるようにするためには、自己効力感を育てることが大切だ。そのために、どうすれば成功できるのかを支援する必要がある。そこで、踏まえておきたいのが、原因帰属理論だということがわかった。この章には、成功のための原因帰属を変化させるために、まず「運」のカテゴリーから始めると書いてあるが、実際にどう対応していくのかがよくわからなかった。
そこで少しネットで調べてみたところ、「結果はすべて運で決まる」というような、学習者の思い込みや信念をほぐし、コントロール可能な領域に目を向けさせる指導方法が紹介されていた。要は、テストや課題の成績を学習者と一緒に振り返り、その結果は「運」だけでなく他の要因が影響しているのではという面に、目を向けさせていくということだそうだ。
現在担当しているクラスの学習者のことを振り返ると、コツコツと努力を続けている姿が目に浮かぶ。それが成果にまったくつながっていないわけではないが、彼らに自己効力感が芽生えてきたかというと、そうとも言えない。なぜならJLPT試験3日前に自信はついたのかについて尋ねるアンケートをとったところ、半数以上があまり自信がないと答えていたからだ。自信をつけ、試験に臨むためにあえて、2回、3回と同じ範囲の文法や語彙テストを繰り返し、彼らのほとんどがいい成績をとった。にもかかわらずそれは自信にそれほどつながっていかないようだった。
原因帰属理論で述べられていた外的でコントロールできない要因である「課題の難易度」を前にして、彼らの信念は「難しい」「できない」「覚えられない」という枠からなかなか抜け出せないように感じる。
一方、自己成就予言で述べられていた、教師が肯定的な期待と高い自己効力感を持って、指導にあたることによって、学習者の成果が上がるという点は、容易に納得できる。教師も学習者が目標に到達できるよう、その目標がたとえ現時点で困難な場合でも、「このやりかたならうまくいく」と信念と自信を持つことが大切なのかもしれない。また、そのやり方が本当にうまくいっているのか、学習者の様子を観察し、意見を直接聞きながら、必要に応じて軌道修正していく事も大切だと感じている。

コメント