読解授業の作り方

日本語学校での読解授業では、JLPTやEJUなど試験に合格するとか、高得点を取るなどの目的で、それに向けて作られているテキストを使用して問題を解く練習をする。または文法、語彙、読解、聴解、会話などが、課ごとにまとめられた総合テキストの中に掲載される文章を読み、学習した文法や語彙の理解を確認する。そんな中で、もっと読解授業の作り方について学びたいと思い続けてきた。

「読む」という作業は頭の中で行われ、心の中で確認されるものなので、学習者がどのように理解したのか、やり取りしながら進めていくことになるが、理解したことを日本語で表現できない場合もあり、
難しいときもある。また、自分が文章を読むことが好きなので、第二外国語の読解の理解プロセスとか具体的な読解授業の進め方についての方法を知りたいと思っていた。専任講師として働きながら大学院で修士論文に取り組んでいた時に知ったのが、『Reading in a Second Language』だった。

著者はWilliam GrabeとJunko Yamashitaで、2009年に初版がCambridge University Pressから出版されている。William Grabe教授は、第二言語としてのリーディング、アカデミックリーディングの研究において著名な応用言語学者である。Junko Yamashita(山下淳子)教授は、英語教育(特に日本における英語学習者の読解力育成)他で国際的に活躍されている。

あれからもう5年近く経って、まだこの本を読めていない。ちらっと気になったところをめくるだけで、読むということについて、わくわくドキドキするようなことが見える。なかなか一人で読み進められない。読んでも内容をすぐに忘れてしまう。だから少しずつでも読んだ内容をまとめ、それについて授業にどのように活かしていけるのか残していきたい。600ページほどある分厚い本なのだが、読みたいと思ったところから読んで記録していこうと思う。

4月20日 Part1 FOUNDATIONS OF READING  3. How Reading Works: Comprehension ProcessesP55~56より

(要点)
① 読解力は単純な1つの活動ではなく、様々なプロセスから成り立っているが、現在は語や文の理解といった低次の処理については、研究者の間で共通の理解が進んでいる。それに対して高次の処理については、まだ統一された定義がないようだ。

②読解のプロセスにおける高次の処理とは、読んでいる単語や文の意味的なまとまりをそれまでに読んできた文章の理解と結びつけて統合することである。そして、その高次処理の課題は、処理の中で自動的な処理と戦略的な処理がどう組み合わさっているのかということである。

③文章理解とは、テキスト表象が読み手の中に構築されることである。テキスト表象(text representation)とは読み手が文章を読み進めてその内容、例えば人物、出来事、因果関係)などを心の中で再構成するように理解していくことである。理解のためにはこれが十分に構築されることが大切。

④テキスト表象の構築は、直前に読んだ内容に読み手がアクセスしながら語や一文のまとまりが統合されていくが、こういった多くの高次処理は自動的な形で実行されることが可能。例外として、読み手が読みに困難を感じたり、感情を揺さぶられるような内容だったり、なんらかの特定な目標によって集中が必要な場合は、自動的に処理されない。その場合は立ち止まって推論などをしながら、理解しようとする。

今回読んだところからの考察

第二言語の読解と母語の読解とでは、読み進められるスピードが異なる場合が多いと思われる。スピードが遅くなるほど、前に読んだことの記憶が薄れてきて、次に読んだことを結び付けながら意味のあるまとまりを作って理解を構築していくことが難しくなる可能性がある。

そのためにはある程度読むスピードを上げ、それだけでなく一文の中の意味のまとまりを意識し、素早くつかむ必要があるのではないだろうか。①に挙げたように読解のプロセスは複雑である。学習者がもし、テキストの内容の理解に困難を感じていたとしたら、それを支援するために教師は、前文(前段落)の理解が次に続く文(段落)につなげられているか、確認する必要があるかもしれない。また、学習者が、ある1つの文の理解のどこで読みづらさを感じているのかを知るべきかもしれない。

今回の部分を読んで、最近の研究では読解プロセスにおける高次処理の自動的かつ暗黙的な部分が注目されていると知った。逆に考えると、高次処理の自動化が占める部分が増えれば、理解構築も速くなるということだろうか。この後、まとめがあるので次回、引き続き読んでいこうと思う。

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