16項目のカリキュラム原則⑨

学習者を戦略的な読み手に育てるためのトレーニング

今回はP441~442の、学習者を戦略的な読み手に育てることについて要約してから考察を述べる。

(要約)

学習者は戦略的な読み手に成長するに従い、より高度な読解力を身につけていくと筆者は述べている。

戦略的な読み手を育てるための指導上で教師が留意すべき点は、学習者が読解ストラテジーを「いつ」「どのように」「なぜ」使うのかを学習者自身で判断できることをゴールに据えるということだ。それができるようになるには、読解ストラテジーを個別に一つ一つバラバラに教えるのではなく、ストラテジーの使いかたをトレーニングする必要があると筆者は指摘する。

筆者によると、一般的に教科書で広く行われている方法は、文脈から切り離され、細切れの練習になりがちで、ストラテジーを1つ1つ順番に紹介するだけにとどまってしまうということだ。このような指導法では、学習者はストラテジーを知っていても使えないという事態になる。優れた読み手になるためには、さまざまなストラテジーを柔軟に組み合わせて使えるようになることが必要だと筆者は述べている。それを教えるためのステップは以下の3つになる。

1ストラテジーを「いつ」「どうやって」「なぜ」使うのかを、学習者に明確に説明する。
2意図的な練習を何度も組み込む。
3より難しいテキストをより多く読む機会を作り、読んだ後に使用したストラテジーについてペアや
 グループで話しあう機会を設ける。

筆者は、このような指導とそれに基づくトレーニングによって、学習者は熟練した自信を持つ読み手に育っていくとしている。さらに、カリキュラムの継続により、学習者が戦略的で自立した読み手としての習慣を身につけるだろうと結んでいる。

(今回読んだところからの考察)

筆者が指摘する通り、日本語教育においても読解テキストでは多くの読解ストラテジーが1つずつ紹介されていることが多いと思われる。1つずつのストラテジーが紹介され、そのストラテジーの使い方を複数の文章例題で練習するような形がよくみられる。

筆者によると複数のストラテジーを必要に応じて組み合わせ、柔軟に使いこなす読み手を育成する事が大切で、そのための意図的な練習が必要ということだ。意図的な練習のためには教師が意図的に選んだ文章とそれに紐づく例題が必要になるということだろうか。

以前、読解ストラテジー研究の論文を読んだとき、ストラテジーは次々にただ紹介するだけでは身につかない、またある一つのストラテジーを学びそれが使えるようになり、自分のものとして定着するためには、ある一定期間が必要だというようなことがあった。

授業の中で読解を特化して扱える時間をもっと増やすことがまず必要だと思われる。そして筆者が述べるようにストラテジーを紹介するにとどまらず、使えるようになるストラテジーを1つずつ増やしていく意図的な練習を繰り返しながら、徐々に蓄積して自分のものとなってきたストラテジーを組み合わせて使っていくように意識付けしていけばいいのだろうか。その際、ペアやグループでどうやって理解したのかについて互いにアウトプットすることにより、ストラテジーの使用を確認し合って強化していけばいいのかもしれない。

学習者のレベル、クラス内での読解力のレベル差などの要因も考慮する必要があるだろう。

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