今回は、2024年度に授業をしながら考えたこと、「ICTを利用したモジュール型コンテンツ」について書きたいと思います。
そもそもなんのこと?
モジュール型コンテンツというのは、わたしが思いついた言葉なのですが、ネットで検索したらマーケティング関係の記事のタイトルに似たような言葉がありました。
それに対してモジュール型教材というのは1回完結型の教材ということで、日本語教育でも使われる用語のようです。日頃使っていた言葉ではなかったのですが、この数年、いろいろな学習者の授業を行ったり、クラスを運営する中で共通の問題点があることに気づきました。それに対応するためにどうすればいいのか考えていたのですが、頭の中にあるアイディアを一言で形にしたのが「モジュール型コンテンツ」です。
この言葉を思いついた元となった、2つの事例があります、以下そのエピソードを紹介します。
思いついたきっかけ
大学の留学生でスポーツ選手のAさんの場合
Aさんは某大学の留学生でありかつ、スポーツ選手です。公式試合などに出場するために日本語の授業を休まざるを得ない事情がありました。また、海外での大会に参加する時もあり、欠席も長期にわたります。Aさんが来日したのは高校生の時で、すでに3年ほど日本で生活しているのですが、その時もスポーツ選手としての生活が中心だったため、日本語を本格的に勉強してきませんでした。日本人と一緒に高校時代から寮生活をしているので、簡単なやり取りは日本語でできるものの、言いたいことが言えなくなると英語で話します。このような状況は今後も続くのと、Aさんにとってどんな日本語能力が必要なのかを知る必要があると考え、Aさんと話し合いました。Aさんが日本語学習を通じて得たいものは、いろいろな生活場面で必要な会話が一人で完結できるようになりたいということでした。これまではマネージャーが必要に応じて代わりにやってくれていたそうです。
諸事情で授業を休むことが多くなる学生が、日本語学習の目標に到達するためには、授業で使う時、1回完結型で、かつ学習者自身が必要に応じて繰り返し学習できる課題や教材が必要だと感じました。
日本語学校で大学等に進学するためのクラスの場合
日本語学校の学習者は最長で約2年、日本語学校に所属することができ、その間に進学や就職などの次の進路に向けて必要な日本語を勉強します。大学や大学院に進学を希望する来日2年目の学生のクラスを担当した時に感じたことです。
4月から12月までは、進学の出願の際に必要なJLPT(日本語能力試験)やEJU(日本留学試験)で必要レベルやスコアを取得するためのカリキュラムを組み立てることが多いです。大学や大学院の入試は長丁場で、10月にはや合格が決まる学生もいれば3月半ばになって受験する学生もいます。12月の第1週に第2回のJLPTが終わると、毎年、学生の足並みが乱れてくると同時にクラスの学生たちの日本語学習へのモチベーションも変化していくのを感じます。実際に学生たちにどんな日本語授業が必要か、アンケートをとったり個別に聞いたりすると、ほぼ全員が日本人とやり取りできる会話能力だと言います。
そこで、グループワークなどを頻繁に取り入れ、コミュニケーション能力を高めるような活動や発表を授業に多く取り入れるようにします。年が明けて1月、2月になると季節的な問題もあり風邪やインフルエンザ等で、体調不良の学生が続出します。加えて進学後の学費などの工面が迫り、アルバイトの疲労が蓄積し、欠席する学生も出てきます。さらに、自分自身の出願準備や入学試験のための準備時間が足りず、授業を休む学生も出てきます。
つまり前述した大学生のAさんのように、諸事情で授業を休む学生が多くなってくるということです。
そのため、グループワークの内容やグループ編成を考える際に、すぐに取り掛かれて、メンバーの人数や構成を問わず、1回完結型のものが適していると感じました。このような事情から、モジュール型で即時性のある、グループワークのための教材が必要だと思いました。
ICTを組み合わせる理由
モジュール型の教材の学習者や教師にとっての位置づけ
- 学習者は自分の日本語学習の必要に応じて、いつでもモジュール教材を取り出して利用できる。
- 教師はその時のクラスの状況から、適したモジュール教材を選んで、すぐにグループワークを進められる。
学習者の状況やニーズを分析し、汎用性がありかつカスタマイズもできるモジュール型の教材のデザインが求められます。学習者との双方向のやりとり及びフィードバック、教材の配布や保管などにICTを組み合わせれば、学習の管理や教材の更新も行いやすいと思われます。
なぜコンテンツなのか
わたしが日本語教師になって教え始めたのは2008年、17年前になります。当時の教室にはネット環境を利用して教材を提示したり配布したりするやり方はありませんでした。現在は、どんなことでもネットで調べられるし、自分で動画を見ていろいろなことが学べます。
そのような環境では、学習者も自分で自分の学びをコントロールする力があれば、つまり学習者の独学力が高くなればなるほど、教師の力は別の部分で発揮したほうがいいのかもしれません。つまり、最初に決めたこと、すでに決められたことをそのまま淡々と教えるというより、学習者のニーズに応じて授業内容をカスタマイズできたらいいのではないでしょうか。
具体的に言えば、最初に紹介した2つの事例のように、学習者の様子を見たりクラスで教えていたりして何か問題点を感じたときに、その都度それを記録し、ストックしておきます。ストックしたものを使い、例えば会話練習(場面別)とかグループワーク(〇〇をやってみよう)などのチュートリアル動画を1つのコンテンツにまとめます。なぜ教材ではなくコンテンツという言いかたにしたのかというと、GoogleドライブやCanvaのリンク、動画編集ソフトから取り出して、いつでも修正、更新可能なこと、SNSに簡単に配信できることをイメージしたからです。コンテンツはカテゴリー別に整理し、学習の目的に応じたモジュール型コンテンツとして、必要に応じてカスタマイズしながら使い続けることができると思います。

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