日本語教師のための読解授業ブラッシュアップ

文章の主旨理解と統語に関して学ぼう『Reading in a Second Language』 第12章  Building Main Idea Comprehension: Syntax and Strategies

読解授業では、理解を確認するのではなく、どう理解するのかを教えることが必要だと、この本で学んできた。第12章では、文章の主旨理解を支える語彙知識以外の2つの考えが示されると書かれている。内容を要約し、授業でどのように応用できるか考えていきたい。今日はまず、イントロダクション部分と、第1節、統語の過程と知識、気づき(p284~286)を取り上げる。

(要約)

(イントロダクション)


主旨理解とは、単に、主旨を特定するだけではない。読み手が文法知識、読みの流暢さ、読解ストラテジー、背景知識、語彙力などを駆使して、テキストの内容を再構築したうえで、状況モデル(読み手がテキストの表象を理解した上に作り上げる解釈)を構築する総合的な能力だと述べられている。ただし、主旨理解は語彙のように、直接確認できるものではなく、読み手は読書経験や読む目的、知識をもとに、どこが主旨なのか情報を選び取る必要があるということだ。

多くの学習者は、易しい文章や会話などを通して、直感的に主旨理解を身につける。またアカデミックリーディングにおいては、豊富な読書経験、フィードバック、他者とのやりとり、教室での練習や評価によって、その力を伸ばしていく。このように示唆され、第12章では、語彙知識に加えて、主旨理解を支える、他の2つの重要な認知資源について示されると述べられている。

(12-1 統語プロセス、知識と気づき)

1、主旨理解とは何か
主旨理解(メインアイディア理解)とは、文章の主題は何か、(何について書かれているか)
その中で一番重要な考えは何かを見抜くことである。読みながら、単に語彙を理解するだけでなく、単語から文、文から文章へと情報を統合する過程で生まれるものである。これまでの研究では、「文章の中で、どこが中心なのかを感じ取る力(構造的中心性への感受性)」とも説明されている。

2、主旨理解に必要な力
主旨を理解するためには、次の6つの力が組み合わさって働く必要があると述べられる。
①文法知識
②流暢性
③難しい文章に対する読解ストラテジー
④長く読み続けても、理解を保てる自動化された処理力
⑤背景知識、事前知識
⑥単語と単語のつながりをしっかり認識できる力

3、主旨理解は「見えにくいプロセス」である
読み手は、これまでの読書経験を活かし、読む目的や、背景知識を使いながら、より具体的な例から、文章中の一般的な考えを取り出す。また、重要な文と補足的な文を区別するといった認知的処理を行っている。

4、統語の役割
最近の研究は、統語的意識が、文章理解に強くかかわっていることを示しているということだ。そして、統語と語彙は別々のものではなく、語や構文を長期的に蓄える1つの言語資源の2つの側面だと考えられている。そして統語には次の2つの区別がある。
①統語的プロセス 無意識に自動的に働く処理
②統語知識と統語的意識 文の形について「知っていること」

そしてこの2つを本書ではまとめて、「統語的意識」と呼び、文章理解のために構文を解釈する場合には、統語解析という言葉も使うということだ。

今回のまとめ

主旨理解は、語彙、文法、統語、背景知識、認知処理が統合された、読解の中核となる能力である。その中で特に、統語的意識は、文章理解を支える重要な基盤であると指摘されてる。


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